アーツマたちばな

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「ヒアリング調査」という語句をめぐって

アンケート調査に対してヒアリング調査という風に何も考慮せずによく使っていたが
これは、お役所的な感じがするというお話があって、少し社会調査法のサイトを見る。

いろいろあったけれど、たとえば、甲南大学のこのサイトが親切でした。
http://kccn.konan-u.ac.jp/sociology/research/

ここには、どうもヒアリングという言葉はなく、自由面接法つまり、インタビュー法という使い方でした。
社会調査法についてのほかのサイトではヒアリング調査という言葉もありますので、
好みかも知れませんが、
ヒアリングというのが、役所が民間から事情聴取する感じがあるという指摘はおおと思いましたね。

インタビュー調査、とか、聞きとり調査とかいうのが無難なのでしょう。

参考として、研究室で読んでみた佐藤郁也『フィールドワークの技法』(新曜社、2002)。
p233の表が理解を深めそうだ。

インタビューのさまざまなタイプとして、上にフォーマル、下にインフォーマルとあって、
下から書くと
 問わず語り-それに対する受け答え
 会話・対話
 現地の流儀・約束事に対する質問-それに対するアドバイス(教え)
 オープンエンドな質問-対応する答え
という風に少しずつフォーマルになっていって、

狭い意味での「インタビュー」として
 構造化された質問-対応する答え
 一問一等式の質問ー対応する「回答」
となって、最後が一番フォーマルなインタビューとなっている。

さらに、その上に括弧がきで
 (面接・「ヒアリング」)
とあって、面接とともに、インタビューと呼ぶかどうかは微妙なものとして、「ヒアリング」もあるとしている(とびきりフォーマルなインタビューという言い方もしているが)。学問上の「面接法」というようなニュートラルな用語ではなく、実際の言葉のニュアンスを重んじていることが本文を読むと分かる。
つまり、ヒアリングという言葉のニュアンスも、就職とか試験の「面接」と同じで、聞かれるほうは、とても硬く緊張するものとして、それをさしているというのが常識なのかも知れない。
面接もヒアリングも、聞き手側に主導権があるもので、佐藤氏の失敗例としてあげられている話(面接についてではあるが)はなかなかに興味深い。

彼は、京都の街角をぶらついてひたすら暴走族の青年たちに声をかけられるのを待つというところからはじめて、いざ相手とより対等の立場で聞きとりが出来るというときになって、つい「面接」という言葉を言ったという。それか彼が前に、少年院などの矯正施設において面接調査をしてきたことがあって、つい「さて、面接初めよか?」といってしまったのである。

相手は、ネクタイ締めてこなあかんなあ!という余裕の反応で助かったそうだが、彼は内心とてもあわてたということで、フィールドワーク、とりわけ、エスノグラフィー的研究というのは、細心の注意がいる、でも、とても人間的な営みだと思った次第。
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by kogurearts | 2006-08-01 08:06 | 雑記