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アーツマたちばな

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冠婚葬祭としての文化~限界芸術を特に意識して~

冠婚葬祭としての文化~限界芸術を特に意識して~
参考指南:岩波新書1999年『冠婚葬祭』宮田登(1936年神奈川県生、民俗学、神奈川大学教授)著

【総論 冠婚葬祭とは】
(1)ハレの生活文化:地域ごとの個性的文化論との関係
○「人生を送る積極的な営みの生活文化」p2
○「人生の歴史のうちの公的な儀礼、ハレの時空間をさしている。」p196
○ゆりかごから墓場までの人生儀礼:人の人生を物語るもの:平凡であってもそれぞれの記憶に刻まれるもの
○「普遍化された無意識の慣習」少しずつ変貌、改変がくりかえし継続 民間伝承という経験的生活文化
○50年間で全国的に画一化してしまったもの(その根っこには、「日本人」らしさを示す生活文化がある)

(2)冠○婚○葬○祭
○冠:一人前になったしるし 男=頭に冠(烏帽子) 女=振袖の晴れ着を着て出席する公的な儀式
○婚:両性が合体して家族をつくるために公的に認めてもらう儀式
○葬(本来は喪):死者の霊魂がこの世にふたたびもどって、うまれかわることを目的とする儀式
○祭:神霊を迎え祀るもの =葬のあと死霊を怨霊化させないように、丁寧に供養を行うこと
+祖霊・神霊を迎え、災厄(さいやく)を祓って、浄化する営み
+高齢者の年祝いの儀礼文化(「冠」に入れることもあるかも)

(3)「儀式―芸能」による象徴
ここにすでにアーツマネジメント(アーツが人生を映し出すものとして示されている)
(例示) 御神楽(愛知県奥三河地方、日本の代表的芸能の花祭り)→人の一生を象徴的に演じる:はじめは「うまれこ」、13歳の「生まれ清まり」、40歳前後「扇子笠」、最後に「浄土入り」

《この世に誕生し、いくつかの人生の階梯を経て、あの世へ行く。そして、ふたたび生まれ清まり、神の子として一段階昇華した形でこの世に現われる》 象徴化(表象化)= 顕示化、対自化、対他化、共有化、社会化

(4)通過儀礼*イニシエーション:文化人類学的視線
 出生儀礼、婚姻儀礼、葬送儀礼、祖霊化儀礼(by 坪井洋文)
 あと、厄年、年祝い「老いの入り舞い」

(5)簡略化・簡素化:古代から課題(薄葬) ぜいたくな衣服、贈りもの
          新生活運動、密葬、香典辞退・・・・

(6)ケガレの除去  「ケ」 ⇔ 「ハレ」     「ケガレ」 「ハライ」 「ミソギ」
    霊魂の安定化、コントロール
  
参考:「喪」の字源:「哭」+「亡」 口をあけて大声でなく「哭」と、人の死の意味である「亡」
         「悲しい人の死の意味から、一般にものを失う」の意味を表す
喪家(そうか)、喪祭、喪主、喪中、喪服、喪礼、服喪  
by kogurearts | 2005-09-18 22:20 | 教育の模索