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ゾロアスター教
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ペルシア人の宗教について見ておきます。
かれらの宗教はゾロアスター教。あとの時代にまとめられる経典が「アヴェスター」です。
これは、面白い宗教です。ユダヤ教が一神教とすれば、ゾロアスター教は二神教とでも言いますか。神が二人います。一つが光の神、光明神アフラ=マズダ。対立するのが闇の神、暗黒神アーリマンです。
ゾロアスター教によれば、アフラ=マズダとアーリマンは永遠に戦いつづけている。それぞれ天使の軍隊と悪魔の軍隊を率いて戦っている。そして、この世に起きるあらゆる出来事はすべて、この二人の神の戦いのあらわれだと考える。君たちが朝寝坊して遅刻したことも、ここに座って授業を聞いていることも、どこかの国が戦争していることも、みんなね。
永遠に戦うのですが、いつかわからないけれど、いつか決着がつきます。最後には光の神アフラ=マズダが勝つ。
ここからが、実に興味深いんですが、アフラ=マズダの勝利のあとで救世主が現れる。救世主はそれまでこの世に生をうけて死んでいった人々をすべてよみがえらせるのです。そして、復活した人々を善悪に振り分け、天国行きと地獄行きに選別するという。これが、ゾロアスター教の「最後の審判」です。
なんだか、キリスト教みたいでしょ。ということは、ユダヤ教にもそっくりなわけ。では、ユダヤ教とゾロアスター教とどちらが先かというとゾロアスター教なんです。ユダヤ教の救世主待望思想や最後の審判の観念は、ゾロアスター教の影響を受けて生まれたといわれています。
ちなみにユダヤ教、キリスト教はヤハウェ神信仰の一神教だと前回お話ししましたが、聖書を読んでるとおかしなものがでてきます。神でも人でもない。何かというと、これが悪魔です。悪魔って一体何者なんでしょう。これは神の一種としか考えようがない。旧約聖書の「ヨブ記」などでは、神が悪魔の挑発に乗ってしまって義人ヨブという人をいじめぬいたりします。神は悪魔とほとんど同じレベルで論争しているのです。
この悪魔もゾロアスター教のアーリマンがユダヤ教の中に紛れ込んだのではないかといわれています。ヘブライ人は、アケメネス朝の支配下でユダヤ教を確立していったのですから、そういうこともあろうかとうなづけますね。
このゾロアスター教は、西方のヘブライ人だけでなく東方のインドにも影響を与えました。
アフラ=マズダはインドに入り光明仏ヴィローシャナになります。さらにヴィローシャナは中国、朝鮮半島を通って日本にもやってきます。これが毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)。奈良の大仏さんです。私、小学校の修学旅行で行きましたが、光明神アフラ=マズダだったんですね。
資料集にゾロアスター教儀式の写真があります。現在でも信者がいるのです。イランに4万5千人、インドのボンベイを中心に10万人ほど信者がいるとあります。この写真は聖なる火を焚いてその前で祭司がアヴェスターを詠んでいるようすです。
おまけの話。マツダ自動車という会社があるでしょ。ファミリアとかつくっている。
松田さんという人が創業者でマツダ自動車なんですが、ロゴマークは「mazda」になっている。何故、真ん中がゼットなのかというと、アフラ=マズダからとっていると聞いたことがあります。コマーシャルを聞いていると、確かに「ザッツ・マズダ」と聞こえますね。
ゾロアスター教みたいにポピュラーでないものからとるなんて、なんだか感心するね。
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